安全教育


  • 私個人の意見として、実践も必要ですが学生さんは試験勉強は得意なので、上記の資格や毒物劇物取扱責任者などの資格取得の試験勉強などは良い教育方法と思います。(危険物取扱責任者は甲種でなければ意味がありません)

  • 皆さんは、研究室での安全教育はいかがされていますか?私は、今回の電討を編集して研究室の学生への教訓にしようと思っていますが、体験談 (自分のも含めて) を話してやるのが一番、効果的な気がします。以前いた学校で、有機化学実験の際、いくら注意しても白衣を着ない学生がいたのですが、強酸がジャージにかかり、ボロボロになってしまいました。幸い、身体は無事でした。翌年から、その話をすると全員、白衣を着るようになりました。研究室での個別の指導は、体験談などでも良いのでしょうが、学生実験も含めた大学教育のなかでのいわゆる安全教育は、難しい面があるように思います。個人的な例でも学科としての例でも結構ですので安全教育の例を btf の中で紹介していただければ幸いです。

  • この世の中には連日のように事故が起きています。我々は常に危険と背中合わせの生活をしています。まして実験室の中には危険な試薬、装置がたくさんあり、それぞれについて注意が必要です。比較的マニュアル化し易い、例えばオートクレーブのようなものでさえ、何度で開ければ絶対安全 (正しい又は誤り)、ということはありえません。マニュアル通りにやって事故が起きた場合の責任は、マニュアルを書いた人も取りたくないでしょうから、逃げ道を作っておくでしょう。マニュアルは、あっても読まないのが人の常、失敗談の方が説得力があります。

  • 大学では安全教育というのをしっかりやっていないのが現実のように思えます。私が某化学メーカーに勤めた時の話ですが、研究所に配属になると、とにかく安全についてしっかりと教え込まれました。地震や火災時の対処の仕方から日々使っている試薬の危険性まで色々と教えられました。ヘキサン蒸気は静電気の火花でも着火することを実験してみて体験しましたし、個々のヒヤリハット事例を朝礼で紹介しあうようなこともやってました。保護具 (保護メガネや手袋等々) をつける習慣は今でも身に付いています。白衣の話が出ていましたが、やはり実際にそういう目にあってみないと理解できないのが現状でしょう。

  • 安全教育には、実験室での火災の模擬実験のビデオ等が有効ではないでしょうか?もしなければ、そういうことを研究する機関があるべきですね。

  • 体験談を話してやるのが一番効果的」私もそう思います。昨年から私は、学部 4 年生対象の「安全工学序論」なる集中講義で、実験における安全について講義しているのですが、体験談を話している時、学生は本当に集中して聞いてくれています (ただし身近な話題でないとアクビをしています)。正直に白状すると、来年の講義でしゃべる体験談を増やしたくてこの討論会を提案しました。m( _ _;)m まだ始めたばかりでつたない内容ですが、私が講義で工夫したこと(しようとしていること)を書きます。

    1.講義を始める前に以下のような心構えを話しています。

    (1) プロとしての自覚を持つ
     広辞苑によれば、「プロフェッショル:専門的、職業的」となっています。諸君は研究を専門的、職業的に行うわけですから「プロ」なのです。プロには「知らなかったから」、「教えてもらっていないから」、「調べるのがめんどうだから」などの言い訳は通用しません。

    (2) 自分自身で下調べする。
     研究に使用する機器類はプロ用の機器です。アマチュアが使う家庭電化製品とは異なり、いい加減な使い方をしても事故が起こらないような機構になっている保証は全くありません。実験を始める前に、あなた自身が、使用する実験機器や試薬の取扱いについて十分な下調べを行なわなくてはなりません (先輩や先生の使い方が正しいとは限りません)。実験機器を正しく使用し、実験の効率を上げ、精度に注意を払うことは研究者の義務です。

    (3) 失敗は報告する。
     失敗は過失ですが、失敗を放置したり報告を怠るのは故意であり許されません。また、関係者に危害が及ぶのを知りながら危険な状態を放置するのは立派な犯罪行為です。

    2.テキストに読んでもらえる工夫をする

    (1) 具体的な事例とその理由を載せる
     「こうしてはいけない」だけではなく、「こうしないとこう言う事故を起こす」、「そのメカニズムはこれこれだ」というように、事故の実例とそれが起こる理由を具体的に解説する。これは冒頭に述べた通り効果的でした。

    (2) 「べからず」だけでなく、実験を失敗せず効率良く行うコツも載せる。
     テキストには、安全に実験を行うための注意事項と、実験機器の寿命を縮めないために必要な注意事項だけでなく、実験を効率良く行い、精度を保つためのコツも載せました。「べからず」は対岸の火事と感じても、実験のコツや実験を失敗する理由も載せると直接自分の損得にかかわるので、狙い通りテキストを良く読んでくれました。

    3.次回の講義で改善しようと思っていること。

     昨年は1-(3)に書いたように「事故を報告しなさい」としか言いませんでした。しかし、次回は、圓尾先生の報告([bef 1779]を参照)を参考に、ハインリッヒの法則についても教えて、ヒヤリハットの情報交換の重要性を教えようと思います。ハインリッヒの法則は、[bef 1779]の要約では省略しましたが、1 つの重大事故の影に、30 倍の軽度の事故と 300 倍のヒヤリハットがあるというもので、
     http://www.tepco.co.jp/kk-np/visit/station/human03.html
    に飛行機事故を事例に非常に分かり易く解説されています。

     ところで、ネットで「安全」をキーワードにして検索しても、外道ばかりでしたが、「ハインリッヒの法則」や「ヒヤリハット」をキーワードにすれば上記サイトの他に、
     http://www.hypertown.ne.jp/medio/sympo/99/index.html
     事故からみえる日本医療の現実 医療被害の予防と救済 (医療事故市民オンブズマン メディオ)
     http://www2s.biglobe.ne.jp/‾nishio/hiyari.html
     ヒヤリハットから派生した安全に対する一考察
     http://www.hanabi.co.jp/hanabi.gyousya.jiko.htm
     花火事故・ヒヤリハット
    など、参考になるものが出てきます。上記サイトのドメインからもわかるように、ネットを検索しても「ac.jp」はほとんど出てきません。大学でももっと安全教育に力を入れるべきですね。と言うか、大学が率先してやるべきことだと思います。

  • 企業にいたとき研究所だけでなく、工場などでおきた事故やヒヤリハットは、以下の内容でA4一枚のレポートにまとめられて
     1. 起こった事例(イラストで分かりやすく)
     2. 考えられる原因
     3. 考えうる対策
    実験室単位で配布、掲示され、特に、重大と考えられるものは事務長から各所属長を通じて口頭で伝えられました。起きた事故やヒヤリハットは、その場で注意するのも必要ですが、原因などをはっきりさせた上で、週に一度のゼミの前などで報告、注意するのが望ましいと考えます。口頭よりも紙に書いて分かりやすい形で掲示するのもいいと思います。



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