Phage Research News of Watanabe Lab

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ファージ論文の紹介を行います。ファージに関する新情報を何でも列挙します

最近報告されたものから、興味深いものを取り上げて簡単に紹介していきます。ファージに直接関係なくても、バクテリアやウイルスに関係する事柄も紹介していきます。わたしにとって新情報であれば書き加えていく予定です。したがって必ずしも「最新・最近」の情報でないと思いますがご了承ください。各項目に関連する原著論文のうち.主たるものはNCBIにリンクしておきます。詳しく正確に知りたい場合は直接論文を参照してください。

Qβファージの外殻構造を用いたニコチンワクチン

スイスのCytos AGは、Qβファージのコートタンパク質のみからできたVLP(Virus Like Particle)にニコチンをconjugateさせて、これを用いている。ファージそのものを用いているのではなく、ファージ由来のタンパク質とそのアセンブリを利用している。

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M13ファージを用いたバッテリー

マサチューセッツ工科大学のAngela Belcher らは、M13ファージを用いてナノサイズの電気伝導体を作製した。ファージのコートタンパク質が秩序だって自発的にアセンブルすることを上手く利用している。具体的には、もともとタンパク質の機能改変のための分子進化実験で用いられているファージディスプレイ法を適用し、金属(コバルト)イオンへの結合能が向上したpVIIIタンパク質を選択してきてこれを利用している。ナノサイズのデバイスをデザインする際にファージのタンパク質の性質を利用して成功した例。

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ファージを食品添加物として利用

アメリカFDAは2006年、チーズ・ソーセージなどの加工食品が原因となる食中毒(発熱、頭痛、悪寒、嘔吐、倦怠感、筋肉痛、吐き気、ひどくなると下痢髄膜炎・敗血症)を引き起こす原因菌であるリステリア菌の脅威を除くための食品添加物として、バクテリオファージを用いることを認可しています。おもに加工食肉製品にふりかけるようです。実際にどの程度普及しているのでしょうか?(リステリア菌は塩濃度が高い場合でも生育できる傾向がありますが加熱調理には強くありませんので、茹でたり焼いたりすれば食中毒の危険性はかなり低下するはずです。)

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新型インフルエンザの発生(世界と日本)

最初メキシコで報告された新型インフルエンザは2009年のゴールデンウィーク明けの日本、特に関西地方に主に経済的な打撃を与えました。わたしの所属している大阪大学では1週間の休校となりました(5月25日からは休校措置は解除されました)。各種の学会も開催中止となったようです。近所のの薬局のマスクも一時は売り切れ続出でしたがすでに供給が戻ってきております。

  • このマスクに関して注意点を書きます。自分がインフルエンザに感染しないようにという目的で健康な方々がマスクを大量購入し、品切れ続出となったわけですが、多くの方がマスクの効果を誤解している気がします。人ごみのなかや誰かとおしゃべりするときには有効な防御になるかもしれませんが、空中をさまよっているようなウイルスの侵入には効きません。なにしろウイルスはとても小さい粒子なので(花粉・黄砂・タバコの煙粒子よりも小さい)マスクではほとんど遮断出来ないのです。ただし、感染者のセキなどの飛まつを周囲に広がらなくすることで感染拡大を抑制する効果は大きいと考えられます。くしゃみや咳、発熱の症状がある方々は、早くからマスクを着用しましょう。
  • 今回のインフルエンザは「弱毒性」であることが分かってきました。地震への備えと同様に、もし今度「強毒性」が感染拡大したときに対して何を備えておくと有効なのかを考えるきっかけとしましょう。

日本が国内の感染状況に大慌てになったことで、世界での感染拡大状況のニュースがほとんどなくなりました。新型インフルエンザは日本でとどまって感染を拡大させているだけではないのですから、世界ではどうなっているのかにも着目していくことも重要です。

新型インフルエンザの感染拡大(世界と日本)

最近、日本でも新型インフルエンザ感染が非常に早く広がり、GW明けごろの感染者数に比べて桁違いになっています。そして残念なことに、日本でもお亡くなりになられた方が報告されています。当初は国外からの感染者侵入に注目して感染拡大の防止を頑張っていましたが、いざ国内で感染者が増加してしまうと、テレビ等で不断に世界での現状をニュースで報道し続けて注意喚起したり、感染拡大したときに有効な方策を準備させることなく感染拡大を許してしまいました。いま新型インフルエンザがどの程度感染拡大していて、世界ではどうなっているのかを、我々個々が知る必要がありそうです。そこで、ここに国立感染症研究所感染症情報センターのHPをリンクします。

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地球上はファージ(ウイルス)でいっぱい

海は地球上の70%を占めていて、そこには魚や海草など大量の生物が生息していることは良く知られているが、もっと詳細にその実体を調べた結果が報告されている。海の水を採取し電子顕微鏡で観察したところ、1 mlあたり1000万粒に及ぶウイルスのようなものが観察されたことが1989年に報告された(Bergh, 1989)。また、直接(培養して増殖させることなく)遺伝子を抽出して得られた遺伝子配列から、含まれていた生物の種類やその属性を調べた(メタゲノム)結果でも膨大な数でしかも多様なウイルスやファージが含まれていることが裏付けられた。概算すると、地球上の海洋全体では10の31乗(1の右に0が31個並ぶ)ものすごい数のウイルスが含まれていて(Suttle, 2005)、なかでもグラム陰性菌を宿主とするファージが多く含まれているらしい(Breitbart and Rohwer, 2005)。ウイルスやファージは通常、直径ナノメートルからマイクロメートル以下の非常に小さい粒なので、海水浴や潮干狩りなどの邪魔にはならないが、ウイルスやファージの増減は宿主生物の数とのバランスに影響するため、結局地球上の生態系全体のバランスに影響を及ぼすだろう。海は地球上で最大の炭酸ガスの貯蔵庫である。光合成プランクトンに感染してこれらを殺すウイルスの数は海洋の二酸化炭素吸収能力にも影響して、地球温暖化問題へも波及しうる。

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ファージ論文の紹介

随時加えていきます。

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