Dual Lock 法

概略

我々は新規な発想から考え出し「mRNA分解を伴わない」遺伝子発現抑制法を開発しました。我々の開発した遺伝子発現抑制法は、miRNAの翻訳抑制作用をヒントにしたアンチセンス法です。mRNAの5’および3’末端をそれぞれ標的とした2種類のアンチセンスオリゴ核酸を用意します。これらにより標的mRNAの両端をつかむことで翻訳反応を阻害します。2種類のアンチセンスオリゴ核酸の組み合わせ方や架橋法の工夫により、低濃度で十分な抑制効果を実現することができます。

研究内容

遺伝子の発現を抑制することで疾病治療薬とする核酸医薬品分野では、siRNAを用いたRNAi活性を基本原理とする方法が主流です。しかし、これには下記の問題点が存在します。

1.副作用の問題
2.使用量の問題
3.新薬候補を探すときの時間と費用の問題
4.DDS(薬剤送達) の問題

siRNA法は、標的mRNAを分解することで遺伝子発現抑制効果を発揮します。これに対して我々は、10年以上の月日をかけて標的mRNAの分解を伴わないで高効率の抑制効果が達成されるアンチセンス法の開発に成功しました。これによりmRNA分解から生じる副反応を回避することができます。この点が、一つ目の特徴です。 siRNAでは、標的遺伝子のmRNAに対して大規模スクリーニングで候補分子を選択します。我々の開発した方法では、標的mRNA両端をターゲットにするだけでよいので、スクリーニング工程における大幅なコスト削減が達成されます。これが二つ目の特徴です。三つ目の特徴は、設計が極めて簡便でありますので疾病対象が各段に広がります。すなわち、プラットフォーム型技術開発に相当する我々の方法は、創薬イノベーション旋風を巻き起こす可能性を秘めています。

出願済みの特許

PCT/JP2015/086042
和田忠士、渡邉肇、高田遼平、真門剛毅、北村彩佳
翻訳抑制方法および翻訳抑制剤
国立大学法人大阪大学および株式会社陽進堂
2015年12月24日

研究論文

Takata R, Makado G, Kitamura A, Watanabe H, and Wada T.
A novel dual lock method for down-regulation of genes, in which a target mRNA is captured at 2 independent positions by linked locked nucleic acid antisense oligonucleotides
RNA Biology doi:10.1080/15476286.2015.111936

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